Claudeに勉強コーチをやらせて、資格試験を受けてきた話

前編で「残り66日、合格率43%の国家資格を、Claudeに勉強コーチにさせる実験を始めます」と書いた。

あれから4ヶ月。 2026年7月5日、1級土木施工管理技士の1次試験を受け、8月13日、合格発表があった。

結果は、合格

この記事では、前編以降に何が起きたか、AIを勉強コーチにする実験は本当に効いたのか、正直に振り返る。


前編のおさらい

前編(「残り66日。合格率43%の国家資格を、Claudeに『勉強コーチ』をやらせる実験」)で書いたポイントはこうだった。

  • 勉強そのものではなく、学習計画・進捗管理・弱点分析・スケジュール管理をAIに任せる実験
  • 初日に「二重ハードル」(全体60%以上 + 応用能力15問でも60%以上)という、自分では気づいていなかった合格基準の落とし穴が発覚
  • 「港湾70%」という自分の強みを、Claudeとのやり取りの中で再発見し、戦略が組み変わった

ここから試験本番までの4ヶ月、実際に何をやっていたかを書いていく。


5年分の過去問を終えて見えたこと

前編の時点では、過去問はまだ全部終わっていなかった。 その後、令和3〜7年度の過去問5年分をすべて解き終えた時点で、最終的な立ち位置が見えてきた。

  • 全体正答率:65〜80%で推移
  • 応用能力15問:5年平均で約85%(安全圏)
  • 得意分野が明確化:港湾・鋼構造物・海岸・鉄道あたりで確実に得点できる状態に

一方で、河川は5年平均53%とばらつきが大きく、最終的に「捨てる」と決めた。 1年だけ好成績が出ても、翌年ガクッと落ちる分野は、本番で当たったときの博打要素が大きい。「得意分野を伸ばして、苦手分野は本番で簡単そうなら拾う程度」という、前編で書いた「捨てる勇気」を、河川でも実践した形になる。

過去問を繰り返すたびに、Claudeとのやり取りは「弱点克服」から「2周目で誤答を潰し、本番まで状態を維持する」というフェーズに切り替わっていった。ここも、自分一人だと感覚で「まあ大丈夫だろう」と流してしまいがちなところを、正答率の推移という数字で管理してもらえたのは大きかった。


週次報告が、いつのまにか習慣になっていた

前編で「孤独な勉強が、並走の勉強になった」と書いたが、これは試験直前まで変わらなかった。

むしろ、日々の生活の中に**「朝の定例確認」の一部として、勉強の進み具合を報告する流れ**ができていた。カレンダーの予定・メールの確認と一緒に、その日の学習方針を確認する。週末には、その週の学習時間・正答率・気になることを報告する。

このリズムの副作用として面白かったのは、忘れた週があっても責められないという点だ。仕事の都合で勉強できない週があっても、「再開を後押しする」スタンスで淡々と続けられた。人間の勉強コーチだと、こうはいかないかもしれない(気まずさが生まれる)。AIだからこそ成立した、ドライだけど続けやすい伴走関係だったと思う。


試験当日(7月5日)

前日、福岡は強い雨が降っていた。

当日は電車で会場に向かうつもりだった。ところが駅に着くと、電車に遅れが出ていて、このままでは間に合わない。予定を変えて、タクシーに切り替えた。

会場に着いて席につくと、思ったより人が少ない。「雨の影響で欠席が増えたのかな」くらいに考えていた。

開始30分前になって、試験監督官から「開始を1時間遅らせます」というアナウンスがあった。

正直、最初に頭をよぎったのは「タクシー代、無駄になったな」ということだった。でもすぐに切り替えた。1時間、余分に復習できる時間ができたと捉え直して、自分の苦手分野を中心に、頭の中を整理し直す時間にあてた。

試験が始まってからは、拍子抜けするくらい、いつも通りだった。過去問で繰り返し解いてきた内容が、想定していた形で出てくる。「普段通りに解けば受かる」という感覚のまま、淡々と進めていった。

マークシートのズレがないか、3回ほど見直した。それでもまだ時間が余っていて、「これ以上見直しても点数は変わらない」と判断し、途中で退出した。

会場を出るとき、大きく外していなければ、合格しているだろうという手応えがあった。


合格発表(8月13日)

試験から約5週間後の8月13日、合格発表があった。

その日は9時にホームページで結果が公開される予定になっていた。9時ちょうど、すぐにアクセスして確認した。

自分の受験番号があった。合格

自己採点で「大きく外していなければ合格だろう」と思っていた通りの結果だったので、驚きというより、安心のほうが大きかった。5年分の過去問演習で、全体正答率も応用能力15問の正答率もずっと安全圏を維持していた――その積み重ねが、そのまま結果に出た形だ。


AIを勉強コーチにする実験、結局どうだったか

前編で立てた仮説――「勉強の段取りをAIに任せれば、自分は勉強そのものに集中できる」――は、当たっていたと思う。

良かった点:

  • 見落としに気づけた:二重ハードルの存在に初日で気づけたのは、独学だったら本番直前まで気づかなかったかもしれない
  • 捨てる判断がフラットにできた:河川を捨てる、鋼橋塗装を深追いしないといった判断は、感情抜きのデータ判断だからこそできた
  • 孤独じゃなかった:週次で報告する相手がいるだけで、モチベーションの管理コストが下がった

一方で、正直に書いておきたいこともある:

  • 勉強そのものは代わってくれない。過去問を解く・間違いを覚え直す・テキストを読み込む作業は、当たり前だが全部自分でやる必要がある
  • AIの分析や戦略提案は、自分が正直に正答率や進捗を報告して初めて機能する。サボって嘘の報告をしたら、当然ながら計画は崩れる
  • AIは、人間のコーチのように積極的に発破をかけてはくれない。報告するのも、相談するのも、基本的には自分から動く必要がある。ある程度の主体性が前提になる仕組みなので、「誰かに尻を叩いてもらわないと動けない」タイプの人には、このやり方はあまり向かないかもしれない

2級のときとの違い

実は今回が初めての施工管理技士試験ではない。以前、2級土木施工管理技士の1次試験も受けて、合格している。

そのときと比べて何が違ったか。一番大きいのは、分野別の正答率を細かく報告し、そのフィードバックをもとに「どこに勉強を集中させるか」を明確にできたことだ。

2級のときは、正答率をここまで分野単位で細かく管理していなかった。今回、Claudeに「法規80%、コンクリート構造物50%、港湾70%……」と分野ごとの数字を渡すたびに、優先順位がその場で組み変わっていく感覚があった。「なんとなく苦手な気がする分野」を漠然と潰すのではなく、データに基づいて「ここは捨てる」「ここは伸ばす」を即断できる――この差は大きかった。

特にこれは、選択問題(自分でどの分野を解くか選べる形式)が多い試験と相性がいいと感じた。全問必須の試験なら「苦手を埋めるしかない」が、選択式なら「得意なところで確実に取り、苦手は最初から選ばない」という戦略が取れる。分野別の正答率という情報がないと、この戦略は立てようがない。逆に言えば、選択式の資格試験を受ける人ほど、この方法の恩恵は大きいはずだ。

つまりこれは「AIに丸投げすれば受かる」という魔法の話ではなく、**「段取りという面倒な部分を手放して、勉強という本質的な部分に集中力を再配分できた」**という、地味だけど効果のある工夫だったと思う。


これから受験する人へ

もし同じように資格試験を控えていて、AIを勉強コーチにしてみたいなら、前編で書いたコツはそのまま有効だと思う。

  1. 役割を明示する(「あなたは僕の勉強コーチです」と最初に頼む)
  2. 具体的なデータを渡す(試験日・残り時間・分野別正答率)
  3. 結果ではなく中間プロセスを聞く(「このペースで間に合うか」)

これに加えて、今回の経験から一つ付け足すなら:

  1. 定期報告のリズムを生活に組み込む(朝の確認、週末の振り返りなど、決まったタイミングで報告する習慣を作ると続けやすい)

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